預言の言葉を確実に後世に残すための暗号
預言の言葉を確実に後世に残すための暗号
さて、次にテムラーの話しに移りたいと思います。テムラーというのは、ある単語の中の文字を置き換えたりして、別の意味の単語を作るような技法のことをいいます。つまり、テムラーは「置換」の方法ということです。
それを解りやすく説明するためによく用いられる言葉として、英語の「LIVE」(生きる・暮らす)があります。この単語は文字を入れ換える(並べ替える)と、「EVIL」(悪事・罪悪・邪悪・災い)という単語にもなります。
すなわち、ここから「生きることとは、もともと罪づくりなことなのだ(あるいは「災いなのだ」)」のような、意味シンな解釈も生まれるわけです。(もっとも、これは英語の単語での例にしかすぎませんが…)
テムラーは、そうした「ある単語の中の文字(綴り)が、他の単語の綴りへと置換可能であるかどうか」を見るためだけのものではなく、その手法はほかにも、仲間内だけで秘密が保たれるための、いわば暗号の術としても、積極的に利用されていました。
すなわち、あらかじめアルファベットの中で置換のための約束事を設けておき、仲間同士はそれを用いて、ある単語をまったく別の単語として変換するなど、そのような暗号の手法としても用いていたのです。
こうした暗号の手法は、当時のユダヤ人にとっては、神から預かった大事な言葉を、すなわち「預言の言葉」を、確実に後世に残すための大事な手段でもあったのです。ちなみに、このユダヤ式の暗号手法はその後の時代には(たとえば世界大戦時など)、大国のスパイなどからも大いに活用されたようです。
それがどんなものだったのか、まずは実際にやってみましょうか…。ヘブライ語のアルファベットは全部で22個ありますから、それを次のように11ずつ上下に分けて並べるのです(ヘブライ語アルファベットは英文字で示しています)。
A B G D H V Z Ch T Y K
L M N S O P Tz Q R Sh Th
こうして、ある単語を暗号化するためには、この表を使って、上の文字と下の文字とを入れ換えればいいことが分かります。上(下)の文字を使うところを、対応する下(上)の文字に入れ換えて、単語を作るということです。
最初の文字「A」の下には「L」が、次の「B」の下には「M」が来ていることから、この方法は便宜上「ALBM(アルバム)法」と呼ばれています。
さらに、これを応用して作った、別の文字置換法(暗号法)もあります。それは「ATBSh(アトバシュ)法」というものです。この場合も、先の表のように「A,B,G…」からはじめて、「K」まで並べるところまでは同じなのですが、その後からが異なっています。この場合では、下に並べるアルファベット列を、先ほどのものとは逆向きに並べていくのです。
A B G D H V Z Ch T Y K
Th Sh R Q Tz P O S N M L
この表をもとにして、単語の文字を入れ替えれば、より高度な置換法となります。なぜ「ATBSh(アトバシュ)法」というかの説明は不要だと思うので省きます。







